|
卦名
|
山天大畜(さんてんたいちく) |
卦辞
|
「大畜(たいちく)は貞(ただ)しきに利(よ)ろし。家食せずして吉なり。大川を渉(わた)るに利ろし。」
陽(艮)によって陽(乾)を畜(とど)め、大が大を畜めるのでその拘束力も大きく、また、ここでは養うという面を重視するため養育するところのものは大(君子)であり貞正でなければなりません。さらに貞正の徳を大いに養ったならば天下のために役立てなければなりません。したがって大川を渡るような大事を決行してもよろしきを得ることを意味します。
|
補足
|
畜とはここでは養うといった意味です。 |
|
卦名
|
山沢損(さんたくそん) |
卦辞
|
「損(そん)は孚(まこと)あれば元吉(げんきつ)にして咎(とが)なし。貞(ただ)しくすべし。往(い)くところあるに利(よ)ろし。なにをか之(こ)れを用いん。にきもってまつるべし。」
下の万民から租税を取り立てて上の用に供するなど下を損して上を益することすべてがこの卦の意味するところです。人や物を減損することは本来咎があるところなのですが誠意をもって行うのならば大いに吉であって咎はないことを意味します。
|
補足
|
損とは減損といった意味です。下卦を損して上卦を益する卦にとります。 |
|
卦名
|
山火賁(さんかひ) |
卦辞
|
「賁は亨(とお)る。小(すこ)しく往くところあるによろし。」
表面を飾って内容を偽るという虚飾ではなく自然のものによそおいを施すことであり、人や物すべてに対して真実そのものに体裁を整えることは大切なことでありそのようなことであれば亨ることを意味します。
|
補足
|
賁とは文飾といった意味です。山(艮)の下に火(離)が燃えて草木を美しく照らす卦象にとります。 |
|
卦名
|
山雷頤(さんらいい) |
卦辞
|
「頤は貞(ただ)しければ吉なり。頤を観て自ら口実を求む。」
養うものが正しいものでなければならずそれは食物だけでなく大きくは天地が万物を、君主が万民を養うことを含みます。更に肉体、精神、そして自分や他人を養うわけで貞正をもって吉であることは言うまでもないこと意味します。
|
補足
|
頤とは下顎といった意味です。二陽が上下にあって中は四陰で空虚、外は艮(止)で内は震(動)、上下顎の形で下顎のみ動くことを象徴しています。 |
|
卦名
|
山風蠱(さんぷうこ) |
卦辞
|
「蠱は元(おお)いに亨(とお)る。大川を渉(わた)るに利(よ)ろし。甲に先だつこと三日、甲に後(おく)るること三日。」
泰平に慣れ悦び楽しみに溺れた結果においていろいろな弊害が起こってきます。その打開の方法を説いていて蠱のままでは亨らず大川を渡るような多くの困難を乗り越えても改革を刷新する大事を決行しなければなりません。
「先だつこと三日、甲に後(おく)るること三日」とは改革を実行する時期を示していますが易でいう「三」は無限という意味であり昔に遡って蠱に至った経過を考慮し、改革後どのようになるかを考慮して慎重にこの大事を行わなければならないことを意味します。
|
補足
|
蠱とは事・物の敗壊・腐敗といった意味です。 |
|
卦名
|
山水蒙(さんすいもう) |
卦辞
|
「蒙は亨(とお)る。我より蒙蒙(もうもう)に求むるにあらず。蒙蒙より我に求む。初筮(しょぜい)には告ぐ。再三すればけがる。けがるれば告げず。貞(ただ)しきに利(よ)ろし。」
蒙は亨るとありますが蒙のままでは亨りません。その蒙を教育によって啓(ひら)く道を説くのが蒙卦です。
幼稚で蒙昧な者が学ぼうとする場合には教える師が必要です。そして本来の教育では弟子の方から教えを受けたいと礼儀を踏んで願いそのように求められて初めて教えるようでなければなりません。
いい加減な学び方や教え方では蒙の道に叶わず、このような至誠を欠いた学問では結局何の役にも立たないばかりでなく学問に対する冒涜であり師たる者は初めから教えない方がよいことを意味します。
|
補足
|
蒙とは蒙昧といった意味です。 |
|
卦名
|
艮為山(ごんいさん) |
卦辞
|
「其の背に艮(とどま)りて其の身を獲(え)ず。其の庭に行きて其の人を見ず。咎(とが)なし。」
止まっては止まるという意に解釈します。人体に例えていうと背中に相当し、ここには人間の欲望を満たす官能が存在しないことから私欲なく我のないことを象徴します。このように外界の物事に悩まされることのない静寂さであるから吉も凶もそして咎もないことを意味します。
|
補足
|
艮とは止まるといった意味です。 |
|
卦名
|
山地剥(さんちはく) |
卦辞
|
「剥は往(い)くところあるに利(よ)ろしからず。」
わずかに一陽(君子)を残しそれに邪悪な五陰(小人)が迫ってさらに削り減らそうとする象でありこのように小人増長の時にあたっては君子たる者は進んで事を成すによろしくない、事を成さずして禍を避ける必要があることを意味します。
|
補足
|
剥とは剥(は)ぎ落とすといった意味です。 |